データフレームの操作
最終更新日:2024-11-22 | ページの編集
概要
質問
- データフレームをどのように操作できますか?
目的
- 行や列を追加または削除する。
- 2 つのデータフレームを結合する。
- データフレームのサイズ、列のクラス、名前、最初の数行などの基本的なプロパティを表示する。
これまでに、R の基本的なデータ型とデータ構造について学びました。以降の作業は、それらのツールを操作することに集約されます。最も頻繁に登場するのは、CSV ファイルから情報を読み込んで作成するデータフレームです。このレッスンでは、データフレームの操作についてさらに学びます。
データフレームに列や行を追加する
データフレームの列はベクトルであるため、列全体でデータ型が一貫しています。そのため、新しい列を追加したい場合は、まず新しいベクトルを作成します:
R
age <- c(2, 3, 5)
cats
出力
coat weight likes_catnip
1 calico 2.1 1
2 black 5.0 0
3 tabby 3.2 1
これを列として追加するには、次のようにします:
R
cbind(cats, age)
出力
coat weight likes_catnip age
1 calico 2.1 1 2
2 black 5.0 0 3
3 tabby 3.2 1 5
ただし、データフレームの行数と異なる要素数を持つベクトルを追加しようとすると失敗します:
R
age <- c(2, 3, 5, 12)
cbind(cats, age)
エラー
Error in data.frame(..., check.names = FALSE): arguments imply differing number of rows: 3, 4
R
age <- c(2, 3)
cbind(cats, age)
エラー
Error in data.frame(..., check.names = FALSE): arguments imply differing number of rows: 3, 2
なぜ失敗するのでしょうか?R は、新しい列の各行に 1 つの要素が必要だと考えています:
R
nrow(cats)
出力
[1] 3
R
length(age)
出力
[1] 2
したがって、nrow(cats)
と length(age)
が等しい必要があります。新しいデータフレームを作成して、cats
に上書きしてみましょう。
R
age <- c(2, 3, 5)
cats <- cbind(cats, age)
次に、行を追加してみましょう。データフレームの行はリストであることを既に学びました:
R
newRow <- list("tortoiseshell", 3.3, TRUE, 9)
cats <- rbind(cats, newRow)
新しい行が正しく追加されたことを確認します。
R
cats
出力
coat weight likes_catnip age
1 calico 2.1 1 2
2 black 5.0 0 3
3 tabby 3.2 1 5
4 tortoiseshell 3.3 1 9
行を削除する
データフレームに行や列を追加する方法を学びました。次に、行を削除する方法を見てみましょう。
R
cats
出力
coat weight likes_catnip age
1 calico 2.1 1 2
2 black 5.0 0 3
3 tabby 3.2 1 5
4 tortoiseshell 3.3 1 9
最後の行を削除したデータフレームを取得するには:
R
cats[-4, ]
出力
coat weight likes_catnip age
1 calico 2.1 1 2
2 black 5.0 0 3
3 tabby 3.2 1 5
コンマの後に何も指定しないことで、4 行目全体を削除することを示します。
複数の行を削除することもできます。たとえば、次のようにベクトル内に行番号を指定します:cats[c(-3,-4), ]
列を削除する
データフレームの列を削除することもできます。「age」列を削除する場合、変数番号またはインデックスを使用する方法があります。
R
cats[,-4]
出力
coat weight likes_catnip
1 calico 2.1 1
2 black 5.0 0
3 tabby 3.2 1
4 tortoiseshell 3.3 1
コンマの前に何も指定しないことで、すべての行を保持することを示します。
または、インデックス名と %in%
演算子を使用して列を削除することもできます。%in%
演算子は、左側の引数(ここでは cats
の名前)の各要素について「この要素は右側の引数に含まれますか?」と尋ねます。
R
drop <- names(cats) %in% c("age")
cats[,!drop]
出力
coat weight likes_catnip
1 calico 2.1 1
2 black 5.0 0
3 tabby 3.2 1
4 tortoiseshell 3.3 1
論理演算子(%in%
など)による部分集合化については、次のエピソードで詳しく説明します。詳細は
論理演算を使用した部分集合化
を参照してください。
データフレームの結合
データフレームにデータを追加する際に覚えておくべき重要な点は、列はベクトル、行はリストであることです。2
つのデータフレームを rbind
を使用して結合することもできます:
R
cats <- rbind(cats, cats)
cats
出力
coat weight likes_catnip age
1 calico 2.1 1 2
2 black 5.0 0 3
3 tabby 3.2 1 5
4 tortoiseshell 3.3 1 9
5 calico 2.1 1 2
6 black 5.0 0 3
7 tabby 3.2 1 5
8 tortoiseshell 3.3 1 9
チャレンジ 1
次の構文を使用して、新しいデータフレームを R 内で作成できます:
R
df <- data.frame(id = c("a", "b", "c"),
x = 1:3,
y = c(TRUE, TRUE, FALSE))
以下の情報を持つデータフレームを作成してください:
- 名
- 姓
- ラッキーナンバー
次に、rbind
を使用して隣の人のエントリを追加します。最後に、cbind
を使用して「コーヒーブレイクの時間ですか?」という質問への各人の回答を含む列を追加してください。
R
df <- data.frame(first = c("Grace"),
last = c("Hopper"),
lucky_number = c(0))
df <- rbind(df, list("Marie", "Curie", 238) )
df <- cbind(df, coffeetime = c(TRUE, TRUE))
実用的な例
これまで、猫データを使ってデータフレーム操作の基本を学びました。次に、これらのスキルを使用して、より現実的なデータセットを扱います。以前ダウンロードした
gapminder
データセットを読み込んでみましょう:
R
gapminder <- read.csv("data/gapminder_data.csv")
その他のヒント
タブ区切り値ファイル(.tsv)を扱う場合は、区切り文字として
"\\t"
を指定するか、read.delim()
を使用します。ファイルをインターネットから直接ダウンロードしてコンピュータの指定したローカルフォルダに保存するには、
download.file
関数を使用できます。保存されたファイルをread.csv
関数で読み込む例:
R
download.file("https://raw.githubusercontent.com/swcarpentry/r-novice-gapminder/main/episodes/data/gapminder_data.csv", destfile = "data/gapminder_data.csv")
gapminder <- read.csv("data/gapminder_data.csv")
- また、ファイルパスの代わりに Web アドレスを
read.csv
に指定して、ファイルを直接 R に読み込むこともできます。この場合、ローカルにファイルを保存する必要はありません。例:
R
gapminder <- read.csv("https://raw.githubusercontent.com/swcarpentry/r-novice-gapminder/main/episodes/data/gapminder_data.csv")
readxl パッケージ を使用すると、Excel スプレッドシートをプレーンテキストに変換せずに直接読み込むことができます。
"stringsAsFactors"
引数を使用すると、文字列を因子として読み込むか文字列として読み込むかを指定できます。R バージョン 4.0 以降では、デフォルトで文字列は文字型として読み込まれますが、古いバージョンでは因子として読み込まれるのがデフォルトでした。詳細は前のエピソードのコールアウトを参照してください。
gapminder
データセットを調べてみましょう。最初に行うべきことは、str
を使用してデータの構造を確認することです:
R
str(gapminder)
出力
'data.frame': 1704 obs. of 6 variables:
$ country : chr "Afghanistan" "Afghanistan" "Afghanistan" "Afghanistan" ...
$ year : int 1952 1957 1962 1967 1972 1977 1982 1987 1992 1997 ...
$ pop : num 8425333 9240934 10267083 11537966 13079460 ...
$ continent: chr "Asia" "Asia" "Asia" "Asia" ...
$ lifeExp : num 28.8 30.3 32 34 36.1 ...
$ gdpPercap: num 779 821 853 836 740 ...
gapminder
の構造を調べる別の方法として、summary
関数を使用します。この関数は R
のさまざまなオブジェクトで使用できます。データフレームの場合、summary
は各列の数値的、表形式、または記述的な概要を提供します。数値または整数型の列は記述統計(四分位数や平均値)で、文字列型の列はその長さ、クラス、モードで説明されます。
R
summary(gapminder)
出力
country year pop continent
Length:1704 Min. :1952 Min. :6.001e+04 Length:1704
Class :character 1st Qu.:1966 1st Qu.:2.794e+06 Class :character
Mode :character Median :1980 Median :7.024e+06 Mode :character
Mean :1980 Mean :2.960e+07
3rd Qu.:1993 3rd Qu.:1.959e+07
Max. :2007 Max. :1.319e+09
lifeExp gdpPercap
Min. :23.60 Min. : 241.2
1st Qu.:48.20 1st Qu.: 1202.1
Median :60.71 Median : 3531.8
Mean :59.47 Mean : 7215.3
3rd Qu.:70.85 3rd Qu.: 9325.5
Max. :82.60 Max. :113523.1
str
や summary
関数と合わせて、typeof
関数を使ってデータフレームの個々の列を調べることもできます:
R
typeof(gapminder$year)
出力
[1] "integer"
R
typeof(gapminder$country)
出力
[1] "character"
R
str(gapminder$country)
出力
chr [1:1704] "Afghanistan" "Afghanistan" "Afghanistan" "Afghanistan" ...
データフレームの次元に関する情報も調べることができます。str(gapminder)
の出力によると、gapminder
には
6 つの変数の 1704
個の観測値があります。このことを覚えた上で、次のコードが何を返すか考えてみてください:
R
length(gapminder)
出力
[1] 6
データフレームの長さが行数(1704)であると考えるのが妥当ですが、実際にはそうではありません。データフレームはベクトルや因子のリストで構成されていることを思い出してください:
R
typeof(gapminder)
出力
[1] "list"
length
が 6 を返した理由は、gapminder
が 6
列のリストで構築されているためです。データセットの行数と列数を取得するには次のようにします:
R
nrow(gapminder)
出力
[1] 1704
R
ncol(gapminder)
出力
[1] 6
あるいは、両方を一度に取得するには:
R
dim(gapminder)
出力
[1] 1704 6
すべての列のタイトルを調べることもできます。後でアクセスする際に便利です:
R
colnames(gapminder)
出力
[1] "country" "year" "pop" "continent" "lifeExp" "gdpPercap"
ここで、R が報告する構造が自分の直感や予想と一致しているかどうかを確認することが重要です。各列のデータ型が妥当かどうかを確認してください。そうでない場合は、これまで学んだ R のデータ解釈の仕組みや、一貫性の重要性に基づいて問題を解決する必要があります。
データ型や構造が合理的であることを確認したら、データの探索を開始しましょう。最初の数行を確認します:
R
head(gapminder)
出力
country year pop continent lifeExp gdpPercap
1 Afghanistan 1952 8425333 Asia 28.801 779.4453
2 Afghanistan 1957 9240934 Asia 30.332 820.8530
3 Afghanistan 1962 10267083 Asia 31.997 853.1007
4 Afghanistan 1967 11537966 Asia 34.020 836.1971
5 Afghanistan 1972 13079460 Asia 36.088 739.9811
6 Afghanistan 1977 14880372 Asia 38.438 786.1134
チャレンジ 2
データの最後の数行や中間のいくつかの行も確認するのが良い習慣です。これをどのように行いますか?
特に中間の行を探すのは難しくありませんが、ランダムな行をいくつか取得することもできます。これをどのようにコード化しますか?
最後の数行を確認するには、R に既にある関数を使用すれば簡単です:
R
tail(gapminder)
tail(gapminder, n = 15)
では、途中の任意の行を確認するにはどうすればよいでしょうか?
再現性のある分析を確保するために、コードをスクリプトファイルに保存し、後で再利用できるようにしましょう。
チャレンジ 3
File -> New File -> R Script に移動し、gapminder
データセットを読み込むための R スクリプトを作成します。このスクリプトを
scripts/
ディレクトリに保存し、バージョン管理に追加してください。
その後、source
関数を使用してスクリプトを実行します。ファイルパスを引数として指定するか、RStudio
の「Source」ボタンを押します。
source
関数はスクリプト内で別のスクリプトを使用するために使用できます。同じ種類のファイルを何度も読み込む必要がある場合、一度スクリプトとして保存すれば、以降はそれを繰り返し利用できます。
R
download.file("https://raw.githubusercontent.com/swcarpentry/r-novice-gapminder/main/episodes/data/gapminder_data.csv", destfile = "data/gapminder_data.csv")
gapminder <- read.csv(file = "data/gapminder_data.csv")
データを gapminder
変数に読み込むには次のようにします:
R
source(file = "scripts/load-gapminder.R")
チャレンジ 4
str(gapminder)
の出力をもう一度読み、リストやベクトルについて学んだこと、および
colnames
や dim
の出力を活用して、str
が表示する内容を説明してください。理解できない部分があれば、隣の人と相談してみてください。
オブジェクト gapminder
はデータフレームで、列は次のようになっています:
-
country
とcontinent
は文字列(character)。 -
year
は整数型のベクトル。 -
pop
、lifeExp
、gdpPercap
は数値型のベクトル。
まとめ
- 新しい列をデータフレームに追加するには
cbind()
を使用します。 - 新しい行をデータフレームに追加するには
rbind()
を使用します。 - データフレームから行を削除します。
- データフレームの構造を理解するために、
str()
、summary()
、nrow()
、ncol()
、dim()
、colnames()
、head()
、typeof()
を使用します。 -
read.csv()
を使用して CSV ファイルを読み込みます。 - データフレームの
length()
が何を表しているのか理解します。